ド直球夢占い
「あの〜、すみませ〜ん」
「おぉ〜兄ちゃん、久しぶり〜!元気してた?」
「いや、僕初めてですけど」
「それなら最初に軽く説明しちゃうね」
「切り替えがすげえなぁ!少しは間違えが意に介せよ…!」
「…うるせえなぁ」
「気ぃ短っ!一言目の人懐っこさどうしたん!?」
「はっはっはっ!こんなところに来るってぇこたぁ兄ちゃん、何かでっけぇ悩みごと抱えてるなぁ?」
「人懐っこ!どっちだよ」
「はっはっはっ!兄ちゃんが何に悩んでるか当ててやるよぉ!」
「人懐っこいんだ」
「うーん…!なるほどなるほど…!」
「そのポーズ何それ?ほとんどだっちゅーのじゃねえか!」
「見えたぞ!兄ちゃん、あんた今、もみあげを引っこ抜くかどうか、悩んでるだろぉ〜」
「悩んでねえよ!いやもみあげ引っこ抜くってどういうこと!?一気にスッとはいかないでしょ何本もあるんだから」
「…うるせえなぁ」
「出ちゃったよ!!何でコロコロ変わるん!?二重人格なんか?」
「なぁ兄ちゃん、昨日見た夢って覚えてるかい?俺の専門は夢占いでねぇ〜!」
「へぇ〜、なるほど。昨日は…確か…ブランコを漕いでいたら急にブランコがなくなって、そのまま延々と下に落ちて行く夢を見ました」
「あぁ〜!それは気をつけた方がいいねぇ兄ちゃん!」
「…どうなっちゃうんですか?」
「ブランコに乗るとブランコが無くなって落ちちゃうぞ〜」
「すごい直球!!ただの正夢じゃねえか!」
「いや、夢占いだよ、兄ちゃん」
「でもブランコに乗らなければいいんですよね?」
「ブランコに乗らなければいい」
「対策も直球!!考えたら分かる域出ないんだ」
「一昨日はどんな夢を見たんだい?」
「一昨日は…うーんと…確か…父親によく似た人に追いかけ回される夢を見ました。結局捕まる直前で目が覚めたんですけど」
「あぁ〜!それは気をつけた方がいいねぇ兄ちゃん!」
「…どうなっちゃうんですか?」
「お父さんによく似た人に追いかけ回されちゃうぞ〜」
「直球二球目!!どんだけストレート自信あんだよ!藤川球児か!」
「散々追いかけ回された後、捕まる直前で目が覚めちゃうぞ〜」
「じゃあ夢じゃねえか!現実の話をしてくれよ」
「またまた〜兄ちゃん、目が覚めるまでが現実なんだよぉ〜!生という名のねぇ!!」
「いや怖いなぁ!!急に哲学の色混ぜてくんな!いや、え?じゃあ僕、父親に似た人に追い回された挙句、捕まる直前で死ぬってことですか?」
「そうだぞ〜」
「…どうしたらいいんですか?」
「どうしようもないぞ〜。必死だぞ〜」
「必死!?必ず死ぬという意味での必死!?」
「そうだぞ〜」
「おい!言いづらいことをズバっと言う方のストレートいらんて!!ブランコの時のストレートくれぇ!!」
「…うるせえなぁ」
「いやごめんて!!!それはごめんて!!死を宣告されてんだから大目に見てくれぇ!!」
「酢昆布を食えば全て解決するぞ〜!」
「先に言えぇ!!何で必ず死ぬって言ったんだよ!?酢昆布にドギツイ副作用でもあったんかぁ!?」
「それじゃあ兄ちゃん、三日前の夢を教えてくれ〜!」
「三日前は…うーんと…えー確か…夢は見ませんでした」
「えぇ〜!!そいつぁやばいよぉ〜!!!」
「今度は何!?」
「夢を見てくれなかったら俺の仕事がなくなっちまうだろうがよぉ〜!!」
「いや知るかぁ!!びっくりさせんなよ」
「もっと夢を見ろよ夢を〜」
「若者に物申す感じで言うな!夢の意味変わってくるわ」
「じゃあにいちゃん、四日前に見た夢を教えてくれるかい?」
「いやもういいよ。僕が夢で起こったことをそのまま言ってるだけじゃん」
「いいからいいから〜!最後だと思ってさぁ〜!」
「わかりましたよ…。四日前は…えーっと…確か……………はっ!?」
「ふふふ、どうしたんだい?」
「いや、そんなこと…どうして…?」
「どんな夢を見たんだい?」
「…そんなことあるわけ…いやでも実際…」
「兄ちゃん、どんな夢を見たんだい?」
「怪しいおじさんに夢占いをされて…それで…気づいたら全身がもみあげになってて…」
「ふっはっはっはっはっはっはっはっ!!!」